読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

種を蒔く人

子どもの読書のことや、公共図書館、学校図書館の役割について斜め方向から考えます。

学校図書館は公共図書館への窓口となり、学校の先生達のサポーターになれる

学校図書館のこと 司書のこと 子どもと子どもの周り すべて見てみたいときはココ☜

子どもの読書推進事業の一環で、

時々「子どもの読書ボランティア」の研修会が行われます。

先日は、現役の特別支援学級担任の先生が、

特別支援学級での読み聞かせ」について実践報告をされました。

 

f:id:yo_mite:20160226001038p:plain

 

先生の話によると、

普通クラス担任が、自分のクラスにおいて、

「もしかして発達障害だろうか」と感じる子どもが

全体の6.5%ほど居るということです。

この数値は、40人のクラスに換算すると、

1クラスに1〜3人は居るだろうということになります。

これは、2014年に文部科学省が行った調査結果に拠るものです。

そして、2002年にも同じような調査を行ったらしいのですが、

その時は6.2%だったので増加傾向というのです。

 

この先生は、自費で遠方までも講習会などへ行かれるそうで、

とても研究熱心な先生という印象でした。

そして、支援教育を必要とする子どもを早期に見つけて、

出来るだけ早く手を差し伸べたいという気持ちを強く感じました。

そのお気持ちがあまりに強いせいか、こんなことを仰いました。

 

ぱっと見では分からないので周囲の大人が注意をはらう必要がある。

 

f:id:yo_mite:20160226001116p:plain

 

本人も親も気付いていない場合がある。

また担任さえも、気付かない場合もある。

ボランティアで読み聞かせしていて、もしも気になる子がいたら、

担任の先生に伝えてあげたらいいと思う。

高学年になってからの支援は、本人が嫌がるので難しい。

 

 

まじかΣ(゚д゚lll)

 

 

本人も親も気付いていないって、

 

 

担任も気付かないって、

 

 

誰も困ってないって、

 

 

その支援、必要?

 

 

ちょっと見で感じただけで、

読み聞かせのおばちゃんが担任に言うようなことじゃなくない? 

 

 

 

根拠とした数値について調べてみた

 

 

Google先生がすぐ教えてくれました。☟

 

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf

 

 

 調査目的

 この調査は、

「障害者の権利に関する条例」に基づき

「インクルーシブ教育システム」をどう構築しようかというんで、

現在の状況を把握して基礎資料にしようという目的のものでした。

 

 

調査対象

 

調査対象は普通クラスの子どもたちです。

「小中学校それぞれ600校の通常学級に在籍する児童・生徒」ということです。

 

 

調査方法

 

調査方法は、担任の先生が生徒一人ひとりに対し、

「知的発達に遅れがないか、発達障害の可能性はないか、特別な教育支援が必要か」

をポイントにして記入するというものでした。

留意点として、

専門家による判断や医師の診断ではない点を示しています。

 

 

調査結果

 

結果は、

 

  • 学習面または行動面で著しく困難な子・・・6.5%

 

でも、これはどちらか片一方の数値です。

 

  • 学習面と行動面ともに著しく困難な子・・・1.6% 

 

どちらとも困難なな子どもは、そう多くはない?

 

本当に、本人や保護者が困っている場合は、

すでに何らかの支援を受けているものと思われるので、

普通クラスではこんなところでしょうか。

 

  

また、学年別の累計で見ると、

 

「学習面または行動面で著しく困難な子」に関して

  • 小1・・・9.8%
  • 小6・・・6.3%
  • 中3・・・3.2%

と、学年が上がるにつれて数値が小さくなっています。

 

 

「学習面と行動面ともに著しく困難な子」に関しては、

  • 小1・・・1.5%
  • 小6・・・1.3%
  • 中3・・・0.9%

と、やっぱり学年が上がるにつれて数値が小さくなっています。

 

 

どうでしょうか?

前述の先生の話は、嘘ではないが、

私には、大げさのように感じ、

意図的に切り取られた数値とも思えてしまいます。

 

 

留意点

 

また、この資料にははっきりと、

 

前回と今回は対象地域、学校、児童・生徒の抽出方法が異なるので、両調査について、「増えた」「減った」という単純な比較をすることはできない

 

と示されています。 

 

 

そして、「行動面で著しく困難な子」においては、

 

「多動性ー衝動性」よりも「不注意の問題」を示す子が多い

 

とも添えられています。

 

 

 

協力者会議における指摘

 

ここに、「協力者会議における指摘」を抜粋してみます。

 

周囲の教員や児童生徒の理解が深まり、適切な対応につながり、当該児童生徒が落ち着く可能性がある。

 

f:id:yo_mite:20160226002752p:plain

 

学年が上がるにつれ、学校において生活経験を積む、友人関係ができる、あるいは、部活動にやりがいを見いだすなどにより、当該児童生徒が学校に適応できるようになる可能性がある。

 

 

f:id:yo_mite:20160226002837p:plain

 

 

低学年では、学習面や行動面の問題は見えやすいが、高学年になるにつれて様々な問題が錯綜し見えにくくなる可能性がある。

 

 

男女比

 

そして、

「学習面または行動面で著しく困難な子」についての男女比を示しますね。

 

前回調査では、

  • 男子・・・8.9%
  • 女子・・・3.7%

 

今回調査では、

  • 男子・・・9.3%
  • 女子・・・3.6%

 

と、このように、

男子の方が断トツに疑われているじゃないですか?!

 

 

男児のADD(注意欠陥障害)を疑う人物

 

こ、これは!!!

 

前記事で紹介したレナード・サックス氏の

 

男の子に対してADD(注意欠陥障害)を疑う人物が、
親でもなく、医者でもなく、女性教師に多い

 

という指摘に重なるではありませんか!!!

 

 

yo-mite.hatenablog.com

 

 

私は、日本の教育現場でも、

アメリカと同様のケースがあることを物語っていると感じましたが、

皆さんは、どう感じられますか?

 

 

熱心だから

 

繰り返しますが、私は、

実践について話してくださったこの熱心な女性の先生が、

嘘を言っているとは決して考えていません。

この数値は、

特別支援学級における読み聞かせの実践について話を始める前置きとして、

現状についてちょっと触れられただけの部分です。

そして、本当に勉強熱心なことが伝わりました。

きっとこの数値は、さまざまな講習会や研究会の資料などから

切り取ったものだと推測します。

 

 

この文部科学省の資料の最後の方には、

 

  • 学級規模を小さくする
  • 複数教員による指導

 

など、指導方法の改善や、

養護教諭スクールカウンセラーとの協力体制など、

今後求める施策についても言及されています。

それは、支援が必要な子を「分ける」よりも、

「共に学ぶ」方向性を示しているように読み取れました。

 

f:id:yo_mite:20160226002937p:plain

 

しかし、特別支援教育に携わる関係者にとって、

特別支援教育の充実の必要性」を広めよう伝えようと思えば、

どうしてもインパクトの大きい数値を伝えてしまうのは、

無理もないことだと思います。

 

 

学校図書館を先生方のレファレンス窓口にする提案

 

このように、学校の先生方は、

授業をする以外にも、研究課題をもってご自身も常に学習されているのです。

そして、ここで私が述べたいのは、 

先生方のそういった研究に対して、

「図書館のレファレンスサービスが役に立つ」ということなのです。

 

f:id:yo_mite:20160226003214p:plain

 

レファレンスサービスとは

レファレンスサービスとは、

図書館でされている情報提供サービスのことです。

 

あまり一般に知られていませんが、

図書館は情報を扱う機関であるため、図書館に元々備わっている機能なのです。

 

求める資料が、図書館の蔵書に有るのか無いのか調べるようなレベルから、

もっと高度な質問に応じるものまで幅広いのですが、

狭い意味では、

「利用者の質問に対し、回答をし、適切な資料および情報を提供するサービス」

のことをいいます。

そして、その図書館では対応できない場合は、

他の図書館や類縁機関などから取り寄せたり、

利用者が直接利用できるよう紹介をしたりなども行います。

 

担当者が必ず心がけなくてはいけないのは、

資料に基づき情報を提供することで、

決して、担当者の記憶で答えることはしてはいけません。

図書館は、

あくまでも記録された正確な資料・情報を提供する機関だからです。

また、

人物や団体、歴史や統計などについての調査では、

必ず、ふたつ以上の参考資料を対比させて答えることにもなっています。

回答では、そこに至るまでに使用した資料を全て報告することにもなっています。

 

 

このようなサービスがどこの公共図書館で受けられるはずなのですが、

サービスにあたる図書館員の育成には、経験の積み重ねが必要です。

つまり、利用者がいなくては、どうにもなりません。

利用されなければ、次第にその部への予算が削られてしまいます。

 

しかし、読書を楽しむために図書館を利用している一般利用者にとって、

レファレンスサービスはあまり馴染みもなく、

それほど必要性を感じないものです。

 

 

けれど、学校の先生たちなら、

それぞれ課題もって研究されているのですから、

きっと活用できるに違いありません。

 

 

ぜひ、どんどん図書館のレファレンスサービスを利用してもらいたいものです。

そのために学校図書館がその窓口になることも、検討の価値があると思います。

勤務する学校の図書室から公共図書館の資料への扉が通じているということは、

きっと忙しい先生たちにとって助けになると思います。

 

 

f:id:yo_mite:20160226011826p:plain