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種を蒔く人

子どもの読書のことや、公共図書館、学校図書館の役割について斜め方向から考えます。

男の子はどうしてそんなに「のりもの絵本」を好むのか

「赤ちゃん文庫」で見ていると、

男の子は、必ず「のりもの絵本」を選びます。

「のりもの絵本」ばっかり選ぶ男の子も珍しくないです。

おもちゃでも、車、飛行機、列車など乗り物を好みます。

息子たちも、幼い頃、3人とも揃いも揃って、

誰が教えるでもなく、乗り物や武器のおもちゃを好むので、

どんな幼くても「男の子」なんだなぁと感心していました。

 

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前記事にも、

鉄道をこよなく愛するの元少年たちの事を書きましたが、

一体、どうして男の子は、そこまで「のりもの」を好むのでしょうか。

 

 

『男の子の脳、女の子の脳』 レナード・サックス:著

 

 

男の子の脳、女の子の脳―こんなにちがう見え方、聞こえ方、学び方

男の子の脳、女の子の脳―こんなにちがう見え方、聞こえ方、学び方

 

 

 

レナード・サックス氏は、内科医であり心理学者です。

数々の権威ある学術誌で論文を発表されており、

全米の各種メディアで、

「子どもたちの学習の場で性別の違いを尊重することの重要性」

を述べられているそうです。

 

この著書の内容が素晴らしいのは、男の子と女の子の違いを、

ちゃんと審査を受けた「科学雑誌の記事・論文」に基づいて説かれている点です。

 

私は、男兄弟がいないのに、自分の3人の子は全員、男の子です。

私にとって息子たちは、正直に言って「異星人」みたいなものです。

共通するところがあまりにも無さすぎるのです。

しかし、この本を読むと、

これまでよく言われてきた「男の子と女の子は根本的に違う」という

曖昧なことではなく、学術的な研究結果を踏まえて説明してくれるので、

「なるほど納得!」と膝を叩くのでした。

 

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なにせ、目の前の男の子が、その通りのことをやらかすのですから(笑)

 

 

見え方がちがう

 

女の子は生まれつき人の顔のほうに興味をもち、

男の子は生まれつき動くもののほうに興味をもつ

 

男性の目と女性の目には、構造に大きな違いがあるようです。

ちょっと複雑ですが、出来るだけ単純にして説明します。

ついてきてくださいね。

 

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目の網膜は、光をシグナルに変換して、神経節細胞に送る組織です。

その組織には、黒と白を感じる「桿状体(カンジョウタイ)」と、

色に反応する「錐状体(スイジョウタイ)」があるのですが、

この部分に特に大きな男女差があるようです。

 

まず、「桿状体」は、動きを探知し分析します。

一方、「錐状体」は、質感と色の情報を集めます。

 

シグナルを受け取る側の神経節細胞の方には、

「M細胞(非常に大きい)」と「P細胞(小さい)」があります。

 

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シグナルは、それぞれ専用部位通って神経節細胞に届くのですが、

特筆すべきは、そのどの経路、どの段階をとっても、

女性と男性は大きく違うということです。

 

そして、ここで重要なのは、男性の網膜には、

女性の比ではないほど多くの「M細胞」が分布しているということです。

 

「M細胞」は、黒と白を感じる「桿状体」とつながっています。

そしてその桿状体は、「動き」を探知します。

だから男の子に絵を描かせると、

黒、灰色、銀、青などで、しかも単色で、なぐり描きのように描きます。

例えば、ロケットが地球に衝突するところ(動き)を離れた視点で描くのです。

 

実際に、うちの息子が小学1年生の頃、

何を描いているかさっぱり?だったので、訊いてみたら、

「ビー玉とビー玉がぶつかっているところ」と答えました。

私が、「ほほー!」と膝を叩いたのは言うまでもありません。

 

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どうですか?

男の子がどうして、

おもちゃにしても、絵本にしても、「のりもの」を好む理由が、

なんとなく分かりますよね。

要するに、

男の子の網膜の「M細胞(動きを探知する)」が、すこぶる大きいため、

「動くもの」にとても関心が大きいのでしょう。

 

 

女の子が人形を好む理由

 

女性の網膜には「P細胞」が男性よりも多く分布しています。

 

「P細胞」は質感や色の情報を集める働きをします。

そのP細胞は「錐状体」とつながって「モノの識別」をするのです。

 

そのため、女の子は、「これは何ですか?」に答えるのが得意なのです。

一方、男の子は、「これは、どこへ行きますか?」に答えるのが得意です。

 

だから女の子は、おもちゃも、質感に富んだ人形を好み、

絵を描かせれば、赤、オレンジ、緑やベージュを使って、

人物やペットや花や木を描くのです。

興味深いのは、それを左右対称に見る者の方に向いた形で描くのだそうです。

確かに、思い当たりますよね。

 

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女の子は名詞を描き、男の子は動詞を描く

by 心理学者、ドナ・トゥーマン

 

 

教育現場での問題点

 

このように、

目の見え方ひとつとっても男の子と女の子には大きな違いがあります。

しかし残念ながら、

幼児教育・児童教育の現場は、女性の先生をがほぼ占めています。

 

この違いを知らない女性の先生は、図工の時間、

男の子の描く絵が先生の思い通りのものにならなくて困惑するでしょう。

小学校に入学すると必ずまず、自分の顔を描かせて、

クラスのスローガンを書いた大きな紙に貼らせますね。

クラスを立ち上げる際の大事な第一歩目です。

しかし、男の子はこういった絵を描くのがまだ苦手なので、

顔の形はこうで、目の形はこうで(たしかアーモンドの形と説明する)、

鼻はこうで、というように指導しながら描かせます。

そうやって描かれた1年生の絵は、みんな同じように描かれて、

オリジナル性も何もないものになります。

みんなアーモンド形の目を描いて、鼻の形も同じです。

 

 でも、この件は、

「たかが子どもの描く自画像」と、放ってはおけない問題が隠されています。

レナード・サックス氏の本で、最も強く指摘されていることがあります。

それは、男の子に対してADD(注意欠陥障害)を疑う人物が、

「親でもなく、医者でもなく、女性教師に多い」ということです。

 

男の子が担任の先生に理解してもらえないことで起きる弊害は、

どんなものか想像できますよね。

これは、その子の成長や人生に大きな影響を及ぼしますから、

ちょっと素通りできない問題です。

 

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