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種を蒔く人

子どもの読書のことや、公共図書館、学校図書館の役割について斜め方向から考えます。

朝読(朝の読書運動)が流行ってしまった

すべて見てみたいときはココ☜ 子どもと子どもの周り

 

 

先日、

2015年「図書と出版」を考える 新たな協働に向けて(日本書籍出版協会)

を読んでいたら、

東京大学出版専務理事、黒田拓也氏が

『朝の読書運動』について触れていた。

 

「読書」をすることは広がっているが、「読む力」は必ずしも広がっていない。なぜか。

(中略)

「ただ読むだけ」ということに、とても大きな問題が潜んでいるように思う。 

 

 

また、内田樹氏もBlogで

朝の読書 (内田樹の研究室)

というタイトルで触れている。

 

朝の読書 (内田樹の研究室)

私が「朝の読書」ということの有効性をうまく理解できなかったのは、「読書」という語に惑わされていたからである。
あれは「読書」ではなく、「読字」だったのである。

2016/03/17 18:14

 

 

またしても、「オマエガユーナ」と言われそうだけど、

朝の読書運動、ほんとはどうよ?

について考えてみた。

 

 

 

朝の読書運動(略して朝読)が流行ったきっかけ

 

朝の読書運動(以下、朝読:アサドク)は

1988年に当時の船橋学園女子高等学校での実践がきっかけに広まった。

この女子高、授業中に私語が絶えず、物が飛ぶは生徒が歩き回るはで、

授業が成り立たなかったらしい。

毎日、50人以上が遅刻していたそうだ。

 

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社会科担当の林公教諭(ちなみに東大哲学科出身のインテリ)は、

ある日、『読み聞かせーこの素晴らしい世界(著:ジム・トレース)』を読んでいた。

 

読み聞かせ―この素晴らしい世界

読み聞かせ―この素晴らしい世界

 

 

そして、その本のなかの「10分黙読」に注目した。

そこには、

「読む力」は使えば使うほど上達し、話す力、聞く力、書く力がつく

と書いてあった。

 

 

ここで私は疑問に思った。

なぜ、「読み聞かせ」ではなかったのかと。

おそらく、多分、きっと、

林教諭は読書をする楽しみをよく知っていた。

『それに相手はもう高校生。読み聞かせてあげるような年齢ではない。』

と考えたんじゃないかな。

 

 

ともかく、林教諭はその時ひらめいた。

どうせ家庭ではしないだろうし、

 

一斉行動が可能な学校ですればいい!

 

 

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そして早速、翌日の職員会議で提唱した。

ところが、職員たちからの反応はいまいちだった。

ただ一人、

もともと生徒たちに読書を勧めていた体育担当大塚笑子教諭だけが違った。

大塚教諭は即、自分のクラスで実践してみた。

すると、すぐに子どもの様子に変化があったそうだ。

 

  

その結果が以下のとおりだ☟

 

  • 読めない子が読めるようになった
  • 集中力がついた
  • 読解力が高まった
  • 語彙が増え、言語能力が伸びた
  • 遅刻が減少した
  • 授業にスムーズに入れるようになった
  • 生活のスタイルが変わった
  • 他人の気持ちを考えるようになった
  • 豊かな心と人間関係が育まれた
  • 自信と誇りを持てるようになった

 

ちょっと出来すぎじゃないだろうか(¬_¬)

 

ここで注目したいのは、

大塚教諭ももともと読書が好きで、

普段から生徒たちにいろいろな本について話していたという点だよね。

 

 

ま、ともかくその実践について書かれた本が出版された☟

朝の読書が奇跡を生んだ―毎朝10分、本を読んだ女子高生たち

朝の読書が奇跡を生んだ―毎朝10分、本を読んだ女子高生たち

 

 

 

すると早速、朝日新聞の「天声人語」にて紹介された。

翌年(1994)にはラジオやシンポジウムで紹介された。

その翌年(1995)には、

全国の小中学校及び高校のうち100校で実施されるようになった。

 

ちなみに、平成26年(2014)には、

なんと27,879校もの学校で実施されるまでに拡がった。

 

 

思い起こせば…

1970年代後半から1980年代は校内暴力が社会問題になっていた。

それが鎮圧された1990年代の学校は、学級崩壊に頭を悩ませていた。

そして、それが治ると、理由の分からない虐めがおきはじめた。

だから全国の学校関係者は、

藁をもすがる気持ちで一斉行動による「朝読」を取り入れたのだろう。

とにかく、朝、授業にスムーズに入れることは何よりだもの。

 

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しかし、現状はどうだろう。

虐めは水面下で起きるようになり、大人が気がついた時は人の命が失われている。

また教諭による指導が元で生徒が自殺にまで追い込まれてしまっている。

朝読で子どもの様子が変わったというのは、幻じゃないだろうか。

 

 

朝読にはルールが4つある


では、朝読はどのようにして実施されるものなのか説明しよう。

 

方法はいたってシンプル。

 

始業前に10〜15分、ただ本を読むだけ

 

しかし、もともと本を読む習慣のない子どもたちにも負担にならないように

決め事が4つだけある。

 

  1. みんなでやる
  2. 毎日やる
  3. 好きな本でよい
  4. ただ読むだけ

 

以上を「朝読の4原則」と呼ぶらしい。

 

 

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 みんなでやると、

自分だけは読まないという生徒が居なくなる。

補足すると、担任も一緒に本を読むことが大事なんだって。

 

 

短い時間を毎日やることで習慣になる。

 

これも補足を加えると、

習慣化には3つのRが重要だという。

それは、

  • Reminder:きっかけ
  • Routine:習慣そのもの
  • Rewerd:メリット

どうやら「メリット」が得られることがポイントのようだ。

  

www.lifehacker.jp

 

  

読む本は好きな本でよいので、自分の意思で選ぶことになる。

自分で探し出すことで独自性と主体性を育むことになるのだそうだ。

そして、あとはただ読むだけ 。

 

 

朝読で人気の本

 

では、朝読で、生徒はどんな本を選び、読んでいるだろうか。

平成26年度『朝の読書』の人気本調査結果発表

によると、 

 

小学校では1位は相も変わらず『かいけつゾロリ』のシリーズ。

そして、8位に『ミッケ』が入っている!

読むというより…みっける絵本だ (¬_¬)

 

ミッケ!―いつまでもあそべるかくれんぼ絵本 I SPY 1

ミッケ!―いつまでもあそべるかくれんぼ絵本 I SPY 1

 

 

 

中学校では「ライトノベル」が一括りにされて、堂々1位だ!

 

朝読が始まり30年は経とうとしているのに、

これで読書力がついていると言えるのか?

嗜好が、読み易いもの、読み易いものへと進んでいないだろうか。

 

 

感想 

 

朝読の目的は、読書を習慣づけることで、

そのねらいは、

「読書本来の楽しみや喜びを感じ、自由や開放感を味わい、
精神の散策を体験し、心を癒し、探究心や感性を育てること」

だそうだ。

 

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学校という環境は、一斉行動をさせるにはもってこいの場所だから、

一斉に読書させさえすれば、

読書を習慣づけられると考えるのは浅はかなんじゃなかろうか。

せいぜい、始業前に静かに席に着かせるくらいしか出来ていないんじゃないの?

 

 

しかし、林教諭と大塚教諭の取り組みは、きっと成功例に違いない。

なぜ成功したかを考えると、

林教諭も大塚教諭も、本当に読書の楽しさを知っていたことと、

やはり生徒たちと真っ直ぐに向き合ったからではないかな。

 

 

私は、このような学校関係の「●●運動」的なものに出くわしたときいつも、

どこかの成功事例を、一様に全国一斉に真似しちゃうことに、

やたらと違和感を感じる。

生徒も先生も多種多様な人間で、地域性も違う。

どれ1つとっても、条件が同じということはあり得ない。

なのに、判で押したように同じようにやってしまう。

きっと何かが抜けている。

それが、考えのか、理解力なのか、思想なのか、熱心さなのか…。

それが何であるかは、私では分からない。

けれど、ひとつだけ私でも分かることは、

もともと本を読まない生徒は、どんな本があるかを知らないということかな。

 

 

だから、小学校ならディズニーアニメ小説を選び、

中学校ではライトノベルまたはマンガをノベライズしたものを選ぶ。

自分で一生懸命探し出したものがそれなんだ。

子どもは親しみのあるものでないと、自分からは手を出さない。

きっと、朝読で読まなくちゃいけないから、そういう本を読んでいるに過ぎない。

だから、学校を卒業すれば、本で読むことはないだろう。

なぜなら、ノベライズされたものより間違いなく、

元々のマンガやアニメの方が数段面白いもの。

 

結局、朝読により何かメリットを感じなければ、

習慣化されるようなことはないと思った。

 

 

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